四季 草木綺譚


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センブリ

センブリ

 よほど山里に入らないと目にすることができなくなった薬草。 今でもセンブリ採りの名人がいますから、探そうとせずに田舎で安く手に入れた方が賢明ですし、偶然に見つけても採るのは我慢して欲しいと思います。 たいがいの薬草の本にあるように栽培は無理とか不可能とあり、確かに易しくは無いですが専門家はちゃんと育てていますので不可能というのは否定しておきます。 ただし二年草であり、見つけた年には枯れる運命。特定の気候風土のもとでこぼれたタネからしか育たないのですから乱獲厳禁でしょう。 写真の左側のものが1年目で、ほんとに小さくて見つけにくいものです。
 和名を当薬(とうやく)といい、室町末期以来の日本固有種です。 しかしインド・チベットでも同種を薬用としており、これが中国を経て日本に渡来したかというとそうでは無く、中国では同種は用いておりません。 民間薬として伝承されてきた薬効は苦味健胃薬・消化不良・胃痙攣などですが、センブリはリンドウ科であり、同じ科に顕著な鎮静や抗炎症作用の知見もあるようです。 苦味の正体は amaroswerin ですが、同じく swertiamarin は、胆汁・膵液・唾液の分泌を亢進します。 但し、漢方で観察する手段では「苦・寒」ですから、衰弱の甚だしい場合や冷え性が強い人の服用にはよほど注意する必要があります。
 センブリの名は“千回煎じても苦味が消えない”が由来ですが、和名の“当薬”は諸説あるものの、明確にはできません。 なお、時期的にもよく似たものにヒメリンドウがありますが、センブリに比べてずっと小形ですから見分けがつくでしょう。 でもヒメリンドウも乱獲にあっているようです。

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